漢方外来
日本東洋医学会専門医の診察が受けられます。
保険の適応があります。
診察、ぼう診、脈診、舌診、腹診によって、患者さんの証などをとって相談をしながら、漢方を勧めていきます。
漢方
植物(草根木皮)や動物、鉱物など、自然界に存在する天然物をそのまま使う薬を生薬とよびます。 漢方薬とは、医師が漢方的な診察(腹診、脈診、舌診など)で体力の強弱や体質(証)などを判断し、数種類の生薬を組み合わせて処方する薬のことです。 古代中国では、かぜや下痢、痛みなどの急性症状に対し、薬草を煎じて服用していました。これが漢方治療のはじまりです。
現代の漢方治療は、長い長い歴史の中で、大勢の医師、薬剤師たちの大変な努力とさまざまな経験、そして医学的理論を基礎に確立したものです。 現在は生薬を煎じて服用することは少なくなり、主にエキス顆粒が用いられています。 なお、ドクダミやゲンノショウコなど、1種類の生薬を言い伝えや伝承によって用いるものは民間薬とよばれます。
漢方薬には「長期間服用することで効果があらわれる」というイメージがあります。 坐骨神経痛や腰痛、生理不順、更年期障害などでは、長期にわたり服用することで、痛みや体質が徐々に改善されてきます。効果があらわれるまでに最低でも2~3ヵ月かかります。 しかしこのような遅効性のものばかりではありません。すぐに効果があらわれる速効性のものもあります。速効性の漢方薬では、葛根湯(かっこんとう)が一般的によく知られています。 葛根湯は7種類の生薬が調合されています。 高熱の場合を例にあげると、西洋薬では「熱を下げる」という考えですが、漢方薬では生薬の成分は「熱を下げる」のではなく、「汗をだす、その結果熱が下がる」という作用であると考えます。 すべての病気ですべての症状に漢方薬を処方するのではなく、その方の体質や症状、病気の種類によって、漢方薬と西洋薬を使いわけます。
漢方薬には副作用がないと思われている方も多いようですが、漢方薬は数種類の生薬(自然物)からなるものなので、西洋薬のように薬害としてあらわれる副作用は厳密にはありません。 しかし、一般的に食されている野菜、魚、果物などで、「○○を食べると、じんましんがでる」「胃がもたれる」「下痢をする」といった症状があらわれる人がいるのと同様に、 漢方薬(またはその中の一部の生薬)が、からだや体質にあわないこともあります。 また、同じ病気でも、病期(症状の時期)により症状がまったく異なるため、漢方薬ではそのときにあらわれている症状と体質にあった処方をします。 かぜを例にみても、ひきはじめの「寒気、頭痛、首すじのはり」という症状に対しての処方と、 徐々に「発熱、発汗、のどの痛み、鼻みず、倦怠感(だるい)」というような症状に変化してきた時期、さらに回復期では、処方する漢方薬が異なります。
「漢方薬だから心配ない」と安易に考え、体質を無視し、症状だけで自己判断し服用すると、頭痛、腹痛、倦怠感、食欲がなくなるなどの症状があらわれることがあります。 その病気や病期の症状にあった処方でなければ効果がないこともあり、からだを温める作用や冷やす作用など、逆の結果をまねくこともあります。 これは副作用ではなく、誤治(誤った使い方)による反応です。漢方薬の服用にあたってはその方の証が大きく影響します。必ず医師、薬剤師に相談し、指示(服用方法)を守ってください。
使われるケース
現代医療のなかで漢方が使われるのは、主には下記のようなケースです。
症状はあるが診断がつかない、現代薬がいまひとつ効かない等でお困りなら、一度漢方を試してみてはいかがでしょうか。
漢方外来は基本的にどの様な疾患でも取り扱います。
ただし非常に有効性が高い疾患とあまり効果は期待できない疾患があることも事実ですが効果が大きいと思われる疾患をいくつか紹介します。
外来
漢方外来では、重度の神経疼痛や脳血管障害の後遺症、重症筋無力症などの神経難病、関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病、 気管支喘息などの慢性呼吸器疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病、アトピー性皮膚炎など自己免疫疾患で症状が安定しない方、 更年期障害や不妊症のような女性特有の病気などに対して西洋医学的治療だけでは充分な回復が得られない方々が対象です。
一方、高齢者の認知症や歩行困難、肺炎、冷え、しびれ、排尿障害など年齢と共に増えてくる病気に対して、漢方・鍼灸治療の効果の科学的解明を進めると共に、 最新の研究成果を診療に取り入れております。