今回の記事は、花粉症（アレルギー性鼻炎）でお困りの方、そのご家族の方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

またアレルギー性鼻炎と診断されたことはないけれど、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどが一定期間続く方、また一年中、症状が出るという方も、ぜひご覧ください。

◆ 花粉症（アレルギー性鼻炎）は、つらいです

アレルギー性鼻炎は、鼻水、鼻づまり、くしゃみといった症状が主な症状と言われています。中には、頭痛や倦怠感（ダルさ）、朝起きられないといった全身症状が出現するケースもあります。

そんな症状を我慢しながら過ごしていると、小さいお子さんでは、身体の不快感等により機嫌が悪くなったりすることがあります。学生さんや成人の方では、頭がぼーっとして集中力が続かないことがあり、学校や仕事で本来のパフォーマンスを発揮できない、といったこともあります。

◆ 花粉症状の考え方

現在日本では、保険適用になるアレルギーの治療法の選択肢が増えているのをご存じでしょうか？
しかしながら、残念なことに治療にたどり着けず、「体質だから」と諦めてしまっている方もいらっしゃいます。

検査をして、何が原因で症状が出るのか（アレルギー）をハッキリとさせ、その原因に応じた治療や対処をすることが大切です。

頻繁に、あるいは一定の時期に、鼻づまりや鼻水、目のかゆみ等があるという方は、ぜひご相談ください。

◆花粉症の治療法は？
1.飲み薬での治療（多くの場合が保険適用）

最近では、テレビCM等でもおなじみになってきました。当院では、抗ヒスタミン剤のほかに漢方薬の処方もしております。

1-1.このような方はぜひ飲み薬ご相談ください
・これまで飲み薬を試したけれど効果がなかった、眠気等の副作用がひどかった方
・花粉症と診断されたことはないが、一定の季節になると目や鼻、頭痛等が続く方 など

1-2.薬の種類
◆抗ヒスタミン剤
TVCM等でおなじみの花粉症の薬と言われているものです。最近では薬局で購入できる花粉症薬もありますが、保険適用の方は、処方薬（医師の処方箋による薬の処方）の方が、安価な場合が多いです。また薬の効果や副作用（抗ヒスタミン薬の場合は眠気や倦怠感等）は、体位室によって症状もかわりますので、医師と相談しながら、ご自身の生活スタイルや体質に合う薬を見つけるとよいでしょう。

◆漢方薬
アレルギー性鼻炎・花粉症に効き目のある漢方薬を処方します。漢方薬は副作用の心配も少ないため、妊婦さんや授乳中の方、副作用が心配な方などに処方しています。効果には個人差がありますので、きちんと服用し、薬の効果を確認しながら治療を進めていくことをおすすめしています。

1-3.飲み薬（花粉症）処方の通院回数・期間
初診診療で2週間～1ヶ月分のお薬を処方します。体質にあっている（眠気等の副作用がない）場合は、再診していただいて数か月分のお薬を処方いたします。体質にあわなかった場合は、お薬を変えて、再度7日処方いたします。

1-4.飲み薬（花粉症）の費用
乳児医療証をお持ちの方は、診察、投薬も自己負担なし（無料）です。薬代も自己負担なし（無料）です。
保険診療の方は、基本的に診察も薬費用も保険適用です。

2.舌下免疫療法（保険適用）

2-1.舌下免疫療法とは

スギ花粉に対する舌下免疫療法の治療開始時期は、6月～11月下旬頃 です。スギ花粉が飛ぶ可能性がある時期は、治療をはじめることができません。 ただし、事前検査・治療予約は、いつでも行っておりますので、ご希望の患者さまはご相談ください。

舌下免疫療法は、スギ花粉やダニのアレルギーを起こす物質をラムネ状の錠剤にしたものを舌の下に入れて、アレルゲンを少しずつ体に取り入れ、慣らしていく治療です。
初回のみ来院で行いますが、それ以降は、毎日自宅で実施します。
まずは、1年間続けてみましょう。3〜4年間継続すれば、根本的な体質改善へつながります。

2-2.舌下免疫療法の通院回数・期間
約1～2か月に１度程度通院していただき、内服状況や症状、副作用の出現の有無などを確認します。

2-3.舌下免疫法の効果
舌下免疫療法はアレルギー体質そのものを軽減していく効果があります。
この治療で使う薬にはアレルギーを引き起こす原因となる物質（アレルゲン）が入っています。少しずつアレルゲンに体を慣らしていき、免疫の過剰反応であるアレルギー症状が発症しないようにするものです。
なお、舌下免疫療法は治療者の約80％が効果を実感していますが、すべての患者さんに適しているわけではありません。また、副作用が起こるケースもあります。

2-4.このような方は、ぜひ舌下治療をご検討ください
・舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込める方。（当院では、4～7歳以上の方を対象としています。）
・根本的に花粉症体質を改善したい方
※適用対象は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された方です。

2-5.舌下免疫療法の費用
3割負担の方は、初回は診察と血液検査で約3,000円〜4,000円、2回目以降は再診料と処方箋料で約500円前後です。1か月の薬代は、約2,000円程度です。血液検査は1年程度以内に行った結果があれば、それを利用して治療から開始することも可能です。
※あくまで目安です

乳児医療証をお持ちの方は、診察、投薬も自己負担なし（無料）です。薬代も自己負担なし（無料）です。

2-6.舌下免疫療法の注意点

舌下免疫療法は、「服薬の前後2時間ほどは激しい運動・入浴が禁止となっている（成人の場合は飲酒も禁止）」です。
朝または夜寝る前に服用する患者さんが多いです。お子さんの場合、学校で1時間目に体育がある場合は、朝の服薬が難しいことがあります。また、夜お風呂に入りたいのに、薬を服用したからしばらく入浴できない…ということもあります。
特段、服用に関して決められた時間帯は特にないので、都合の良い時間に忘れずに服薬することが大切です。

3.注射療法（保険適用）

3-1.注射療法とは
アレルギー反応を抑える効果のあるお薬を定期的に皮下注射することで、アレルギー反応を弱めることができます。 季節性のアレルギーをお持ちの方をはじめ、通年性のアレルギーをお持ちの方にも有効な治療法です。

3-2.注射療法の効果
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど体内でアレルギー反応を抑える効果があります。ただし効果には個人差があり、治療した全ての方に同じ効果があるというわけではありません。

3-3.注射の方法と期間・回数
通常、大人は週1〜2回、お子さんは週1回の間隔で、3回又は6回注射します（1クール）。
※十分な効果のあらわれない場合には更に1クールの注射を行うこともあります。
また、いったんあらわれた効果を維持するためには3〜4ヵ月ごとに1回の注射を反復します。
※花粉症で注射療法をお考えの方はシーズンが始まる1ヶ月ほど前に始められることをおすすめ致します。

2-5.注射療法の費用
保険適応ため3割負担の方で1回1200円前後、再診は1回600～700円程度となります。
※あくまで目安として参考になさってください。

3-4.注射療法の注意点
下記にあてはまる方は、注射療法以外の治療法をご検討ください。

4.さいごに

花粉症の症状も、人それぞれです。
ご自身に合う治療法を一緒に考えていきましょう！
お気軽にご相談ください。

【参考文献】
増野肇, 通年性鼻アレルギーに対するヒスタグロビン療法-とくにその用法・用量に対する検討-, 1980.
日本臓器製薬,ヒスタグロビン皮下注用解説書
鳥居薬品株式会社,アレルゲン免疫療法ナビ